 バネ指とは
バネ指は，指がバネのように弾ける指関節の病気です。腱鞘炎のひとつであり、指を曲げたのちに、伸ばそうと思っても伸びなかったり、無理に伸ばそうとするとまるでバネ仕掛けのように、指が急に伸びる状態です（弾発現象）. また、指を曲げる際に、急に曲がってしまう事もあり、この症状が悪化すると、関節が動かなくなることもあります（関節拘縮）.
■ 指の解剖
指を屈曲する腱は,腱鞘という“さや“の中を滑走しています．
腱鞘には下記の2種類があります.
滑膜性腱鞘
腱に直接に接しており，腱の表面を直接取り巻く薄い皮膜
です。腱が滑らかに動けるように滑液を分泌し、腱や腱鞘
表面の栄養補給をしたり、さらに腱の癒着を防ぐ役割もあ
ります
靭帯性腱鞘
滑膜性腱鞘の外側にあり，腱が指の骨から離れないように
支持しています.
■ バネ指の病態
何らかの原因で滑膜性腱鞘の炎症や浮腫が起こり（腫れる），
腱の断面が相対的に太くなります. また靱帯性腱鞘の内腔も狭
くなるため､ 腱の滑走がさらに悪くなります. その結果､指を
伸ばそうとしたときに靭帯性腱鞘の入り口で引っかかってしま
い，これを乗り越えるときにばね現象が起こります．
■ バネ指の原因
・慢性的な手指の使い過ぎ.
・ホルモン環境の変化（妊娠,出産,閉経）
・関節リウマチ，透析，糖尿病.
・原因不明.
■ バネ指の症状
初期の症状
・指を曲げようとしたときに，何か引っかかる感じや軽い痛み
を感じます.
・引っかかり感が強くなると，“弾発現象”が起こります．
進行期の症状
・弾発現象とは，指を伸ばすときあるところで動かなくなり，
そこを越えると“コクン”とバネのように指が伸びます．
・曲げるの時にも “弾発現象”が起こります.
・“弾発現象”が起こる瞬間は痛みを感じます.
・指の付け根に“しこり”を触れ，押さえると痛みを感じる
ようになります.
・さらに進行すると指を伸ばせなくなります．
・症状は朝に出やすいとされています.
■ バネ指の治療
安 静
・手指を使う仕事をできるだけ避けるように
しましょう．
・朝起床時に手をお湯にひたし，無理せずゆ
っくり指の曲げ伸ばしをしましょう.無理に
伸ばすと､“しこり”が大きくなります｡
・安静にしましょう（患部をもんだりほぐし
たりしない）．
・痛み止めの内服・外用を使いましょう.
リハビリ
ブロックエクササイズ
・第3関節が90°程度の角度に
なるようにブロックを “手の
ひら” と “指先”で握ります．
・1セット（1回10秒×３）×3
セットを、1日4回（朝・昼・
夕・眠前）行います．
ストレッチ
・肘を伸ばした状態で、手首を
反らせます．
・1セット（1回10秒×３）×3
セットを、1日4回（朝・昼・
夕・眠前）行います．
腱鞘内注射
・ステロイド薬の腱鞘内注射により, 腫
れや痛みをやわらげます.
腱鞘切開
■ 安静で治らない場合は、腱鞘の一部を切開します.切開は通常
局所麻酔下で行い、入院の必要はありません.
超音波ガイド下に注射針で切開する方法.
・十分に局所麻酔をした後に，注
射針で腱鞘を切開します.
・皮膚表面の傷は針穴だけであり
翌日から水仕事が始められま
す.
・超音波ガイド下に切開するため
腱を傷つける心配がありませ
ん.
従来の皮膚切開で行う手術療法.
・狭窄した腱鞘上の皮膚を切開したのちに腱鞘を切開します.
・確実な方法ですが, 皮膚縫合を要するため、抜糸までの一
週間は水仕事ができません。
※)手術適応の方は、他の病院へ紹介いたします。
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