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     バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
       
Basedow病(Graves病)
 
  



 前回のガイドラインが約8年前に作成されましたが,ガイドラインの作成方法も変化しています.最新のエビデンスに基づいたバセドウ病の治療レベルを標準化すことを目的に,「バセドウ病治療ガイドライン2019」に改訂されました.






 ■ バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは          

  血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の受容体に対する抗体(TSHレセ
  プター抗体)が、甲状腺を刺激し以下のことがおこります.

 ● 甲状腺が大きくはれあがります.
 ● 甲状腺ホルモンの血液中の濃度が高まり,
   甲状腺機能(はたらき)が活発になります.

 これらの状態を、発見した人の名前からBasedow
(
バセドウ病)Graves病(グレーヴス病)とよびます.ただし
近年では、血液中にTSHレセプター抗体が認められる状態を,
広い意味でバセドウ病と呼ぶように提唱されています. 




 ■ 甲状腺機能亢進症の好発年齢・頻度          

 ● 年 齢:1550歳の女性に多い.

 ● 頻 度:約0.270.6(40歳以上を対象と
       した検査etc).

 ● 家族内集積:高いとされています.他の甲状腺
       の病気(橋本病など)を有する事もあり
       ます.
 ● 精神的ストレス・喫煙などが、発症・再燃・再発に影響を与える可能性があります.

 



 ■ 甲状腺機能亢進症の症状               


 ● 全身の症状
    体重減少,多汗,疲れやすい,暑がり,微熱,
    口のかわき,月経不順,

 ● 
循環器の症状
    動悸(ドキドキ),頻脈(脈がはやい),息切れ,
    不整脈,コレステロール値の低下.

 ● 神経や筋肉の症状
    手指のふるえ,いらいら,不眠,筋力低下,

 ● 眼の症状
    眼球突出, 

 ● 消化管の症状
    食欲の亢進,下痢,軟便.

 ● 甲状腺腫(のどがふくれてきます).

 病気(機能亢進)の程度により,症状は様々です.

) メルゼブルク三徴候
   頻脈(脈が速くなる)+ 甲状腺腫(のどの腫れ)+ 眼球突出





 ■ 甲状腺機能亢進症の検査               


 血液検査



 ● 上昇する項目(上昇しないこともあります)
   「fT3 」「fT4 」「血清サイログロブリン」
   「AST」「ALT」「Ca」「P

 ● 低下する項目(低下しないこともあります)
   「TSH」「コレステロール」「カリウム」

 ● 陽性となる項目
   (陽性にならないこともあります)
   「TSHレセプター抗体」「甲状腺刺激抗体(TSAb)」
   「抗サイログロブリン抗体(TgAb)」
   「抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体」


 超音波検査



 ● 不均一なびまん性甲状腺腫(甲状腺全体の腫れ)
   を認めます. また血流の増加も認めます.

 





 ■ 甲状腺機能亢進症の治療の基本            

 
薬物療法・放射線療法・手術療法があります.


 薬物療法



 ● 抗甲状腺薬(飲み薬)による治療です.
 ● 日本ではほとんどの人が最初に選択します.
 ● 外来で治療を施行できます.
 ● 甲状腺機能低下症(放射線療法後に起こりうる)になることはありません.
 ● 他の治療に比べ寛解率(病気が落ち着く)は低く,また治療期間も長期
   に及びます(寛解にいたる人は,2~3年で30%程度です).
 ● 時に薬による副作用が発症します.
 ● 治療中止後に再発する人が少なくありません.
 ● 1.5
2年以上経過しても休薬や寛解のめどがたたない場合は,治療法
   を再検討する必要があります.


 放射性ヨード(131I)療法



 ● 確実に治すことができます.
 ● 手術を希望しない場合や薬が使えない(副作用等)場合に適応となります.
 ● 治療終了後に甲状腺機能低下症になる可能性が高いとされています.
 ● 妊婦,授乳中の人は禁忌(選択できない)です.
 ● 主として中高年者が対象です.18歳以下には慎重な検討が必要です.
 ● 甲状腺腫が大きい場合は,複数回行う必要があります.
 ● 治療後にバセドウ病眼症になる可能性や増悪する可能性があります.


 手術による治療




 ● 
確実性の高い治療方法です.
 ● 若年で甲状腺腫が比較的大きい場合が対象になります.
 ● 早く治したい人,甲状腺腫が大きい人薬を定期的に飲めない人.
 ● 薬が効きにくいなど他の治療方法が困難な人が適応です.





 ■ エビデンスの強さおよび推奨度の強さについて      

 「バセドウ病治療ガイドライン2019」では、Minds 診療ガイドライン作成マニュアル(2016年および2017年)に基づき、"エビデンス(科学的根拠)の強さ"
 および"推奨の強さ"の提示が示されています.

エビデンス(科学的根拠)の強さ
 A (強)推奨を指示する適切さに強く確信がある
 B (中)推奨を指示する適切さに中程度の確信がある
 C (弱)推奨を指示する適切さに対する確信は限定的である
 D (とても弱い)推奨を指示する適切さはほとんど確信できない
推奨度  
 1 強く推奨する
 2 弱く推奨する
 3 推奨なし




   

  

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