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最終更新日:2015.4.4
慢性腎臓病(CKD)  


腎臓とは

☑ 場所・大きさ腎臓
 ▸ 腰の辺りに2個(そらまめのような形)
 ▸ こぶしくらいの大きさ(1個150gほど)
☑ 腎臓の働き
 ▸ 毎日200ℓの血液をろ過
    → 老廃物を尿として体外に排泄
 ▸ 体液の量や浸透圧・血圧の調整
 ▸ ミネラル(Na・K・Ca)を調節
 ▸ 酸性・アルカリ性のバランスを保つ
 ▸ 血液を作るホルモンを分泌
 ▸ 骨を健康に保つ


CKD

慢性腎臓病(CKD)の定義   
CKD診療ガイド2012 p.1 表1
① 尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか
 0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)
② GFR(eGFR)が60(mL/分/1.73㎡;単位)未満に低下している
①,②のいずれか,または両方が3ヵ月以上持続する

 ☑ 頻 度 : 日本の成人人口の約13%(他国と同程度)
 ☑ ステージ : 日本ではステージ3の占める頻度が他国より多い
 ☑ 好発年齢 : 70~80歳代が全体の半数
 ☑ 透析導入の最も多い世代: 75~80歳
 

CKDの原因

慢性腎臓病(CKD)の原因には様々なものがあります。
 ▸ 原疾患:糖尿病・慢性糸球体腎炎・腎硬化症・多発性腎嚢胞 etc.
 ▸ 高血圧(原因として多い)
 ▸ 高齢者
 ▸ 高コレステロール血症
 ▸ 肥 満
 ▸ メタボ
 ▸ 腎臓病
 ▸ 遺 伝


CKDのステージ

 
慢性腎臓病(CKDの重症度は、”腎臓のはたらきの程度(GFR)”、”糖尿病や高血圧など腎臓病のもとになっている病気”、”尿蛋白や尿アルブミンの量”により評価されます。

原疾患 尿蛋白区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量
(mg/日)
尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)
正常 微量
アルブミン尿
顕性
アルブミン尿
30未満 30~299 300以上
高血圧
腎炎
多発性腎嚢胞
移植腎
不明/その他
尿蛋白定量(g/日)

尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)
正常 軽度
蛋白尿
高度
蛋白尿
 0.15未満  0.15~0.49 0.5以上
GFR
(mL/min/1.73㎡)
G1 正常 or 高値 >90
G2 正常 or 軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESRD) <15

 ※)”水色””緑色””黄色””赤色”の順に重症と判断します。
 ※)上記表の”赤色”区分の方は専門医の診断が必要です。
    専門医による精密検査や入院により治療方針を決定いたします。
 ※)eGFRが30~59mL/分/1.73㎡(G3a~bに相当)で蛋白区分が正常or微量の場合

   ▶ 
eGFRが50~59mL/分/1.73㎡ : 40歳未満は専門医紹介
   ▶ eGFRが40~49mL/分/1.73㎡ : 40~69歳は専門医紹介
   ▶ eGFRが30~39mL/分/1.73㎡
 : 70歳以上は専門医紹介
  
  ただし顕性アルブミン尿・蛋白尿は年齢にかかわらず専門医紹介

     


CKDの症状

 ☑ 初     期  : 症状はないことが多い
 ☑ 進行すると下記の症状が現れます
    ▸ 夜間尿 : 夜間に何度もトイレに行く
    ▸ むくみ : 靴や指輪がきつくなる
    ▸ 貧 血 :  立ちくらみがたびたび起こる
    ▸ 倦怠感 : 疲れやすく常にだるい感じがする
    ▸ 息切れ : 少し早歩きしただけで息が切れる
    ▸ 狭心症 : 脳卒中、心筋梗塞の発症率が上昇
            → それが原因で亡くなる場合も多い


CKDの検査

 ☑ 検査の項目
   ▶ 尿検査 : 尿蛋白・尿クレアチニン
   ▶ 血液検査: 腎機能:クレアチン、eGFR、BUN、UA
           脂 質:LDL、TG、HDL
           電解質:K
           栄 養:TP、Alb
           血 糖:HbA1c、FBS
           貧 血:Hb

 ☑ 検査の間隔は
病気の進行度で異なります。
   ▶ ステージ1・2・3の場合:3~6ヶ月毎
   ▶ ステージ4・5の場合     :3~6ヶ月毎


CKDと高血圧

 慢性腎臓病(CKD)で65歳以上の人は、ゆっくりと血圧を下げます(まずは140/90mmHg以下)。その後慎重に目標値まで下げましょう。また塩分制限・禁煙・運動などの生活習慣改善も重要です。

CKDにおける降圧目標
蛋白尿なし 蛋白尿あり
糖尿病合併CKD 130/80mm/Hg 未満 130/80mm/Hg 未満
糖尿病非合併CKD 140/80mm/Hg 未満 130/80mm/Hg 未満

CKDにおける推奨降圧薬
蛋白尿なし 蛋白尿あり
糖尿病合併CKD RA系阻害薬 RA系阻害薬
糖尿病非合併CKD RA系阻害薬・Ca拮抗薬
あるいは利尿薬
RA系阻害薬


CKDとと貧血

 
慢性腎臓病(CKDが進行すると、腎臓のエリスロポエチン(赤血球の産生を促進するホルモン)分泌低下により、赤血球をつくる能力が低下し腎性貧血がおこります。

 ☑ 腎性貧血の診断
  ▸ Hb値 10 g/dl 未満
  ▸ 血中EPO濃度 50 IU/ml 以下

 ☑ 腎性貧血の治療
  ▸ 鉄剤の静脈投与(適宜)
  
※) 腎不全患者は唾液中の尿素濃度上昇
     → 胃の中でアンモニアに変換(ウレアーゼによる)
     → 胃内がアルカリ環境になり経口鉄剤は吸収効率低下

  ▸ エリスロポエチンン製剤の投与

  ▸ 目標Hb値11~13 g/dl (血液透析患者は10~12 g/dl)


CKDと電解質

 慢性腎臓病(CKDが進行し腎機能が低下すると電解質異常を起こします。この場合電解質(K・Na・P・Ca)の管理をすればCKD進行抑制・心疾患の改善が期待できるとされています。

 ☑ K(カリウム)は下記の薬で増えることがあります。注意しましょう。
  ▸ RA系阻害薬
  ▸ β遮断剤
  ▸ NSAIDs
  ▸ トリメトプリム
  ▸ Na – Cl が36未満なら、HCO3濃度の低下を疑う

 ☑ P(リン)・ Ca(カルシウム)
  ▸ 血清リン濃度 Stage3b~4で上昇
      → 動物性タンパク摂取制限
  ▸ 植物性タンパク摂取を推奨 → リン吸着薬


CKDと食事

  ▸ 腎機能が低下してきた場合、腎臓をいたわる食事が必要です。
  ▸ 食事で注意すべきことは病気の進行度で異なります。
  ▸ エネルギー・食塩・蛋白質・カリウムetc. 制限が中心です。

     慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版
ステージ(GFR) エネルギー
(kcal/kgBW/日)
蛋白質
(gl/kgBW/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(mg/日)
ステージ1
(GFR≧90)
25~35 過剰な摂取をしない  3≦  <6  制限なし
ステージ2
(GFR60~89)
過剰な摂取をしない 制限なし
ステージ3a
(GFR45~59)
0.8~1.0 制限なし
ステージ3b
(GFR30~44)
0.6~0.8 ≦2,000
ステージ4
(GFR15~29)
0.6~0.8 ≦1,500
ステージ5
(GFR<15)
0.6~0.8 ≦1,500

  ※)食 塩    :3g / 日以下の制限は推奨しない
                          (死亡率・腎機能障害悪化の可能性)
  ※)カリウム : たんぱく質の制限によりカリウムも制限される)


CKDと薬

 慢性腎臓病(CKD)で下記のくすりを飲むときは注意が必要です。
 定期的に血液検査を受けるようにしましょう。

  ▸ NSAIDs(痛み止め etc.)
  ▸ 高尿酸血症
  ▸ H2受容体拮抗薬(胃薬 etc.)
  ▸ β受容体拮抗薬投与時の高K血症(高血圧)
  ▸ 抗悪性腫瘍薬(CDDP etc.)
  ▸ 抗ウイルス薬
  ▸ フィブラート系薬剤(コレステロール etc.)
  ▸ 造影剤
  ▸ カルシウム剤
  ▸ 活性型ビタミンD3製剤投与(骨粗鬆症 etc.)


CKDの急性増悪

 以下の場合は、急性増悪が疑われるため専門医を受診していただきます。

  ▸ 血清クレアチニン 著明上昇(150%以上)
  ▸ 剤の血清 K 5.5 mEq/L 以上
  ▸ 剤の著明な体重増加、浮腫、心不全症状
  ▸ 剤の急激な蛋白尿の増加
  ▸ 尿タンパク/尿クレアチニンが200%以上
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