岡山市中区 内科|岡山市中区円山、内科、呼吸器科、消化器科、外科
整形外科など皆様の家族のかかりつけ医としてご利用ください。






本文へジャンプ


 
 
      高尿酸血症痛風の治療

 
 

 

 ■ 高尿酸血症痛風の治療               


■ 痛風関節炎の初期治療



高尿酸血症と痛風発作

 ● 急性痛風関節炎の治療はできるだけ早く開始し,
   軽快したら中止します.
 ● 治療薬には,非ステロイド系抗炎症薬,コルヒチ
   ン,グルココルチコイドがあります.
 ● 急性痛風関節炎には,非ステロイド系抗炎症薬
   は十分量を投与します.

 ● コルヒチンは発症12時間以内に1mg,その1時間
   後に0.5mgを投与します.

 ● 経口グルコルチコイドはプレドニゾロン換算2030mg/日を目安
   とし,35日間投与します.

 ● 関節内注射・筋肉注射(グルコルチコイド)を施行する事があります.
 ● 尿酸降下薬開始後に生じる急性痛風関節炎に対しては予防対策を行
   います.
 ● 痛風結節は尿酸降下薬によって血清尿酸値を長期間十分低下させる
   ことで縮小,消失することがあります.外科治療を行う場合でも
   薬物治療は必須です.

 ● 重症例では,尿酸値5/㎗以下を目標とすることが推奨されます.


■ 尿酸降下薬の種類・選択



 ● 尿酸降下薬は以下に大別されます.高尿酸血症と薬

 ・尿酸生成抑制薬:
   アロプリノール・フェブキソスタットなど.

 ・尿酸排泄促進薬:
   ベンズブロマロンなど.
 ・尿酸分解酵素薬(腫瘍崩壊症候群にのみ適応):
   ラスブリカーゼ
 
 ● 
尿酸生成抑制と尿酸排泄促進薬の併用も有効です.
 ● 一部の尿酸生成抑制薬は,尿酸排泄低下型にも有効です.
 ● 一部の尿酸生成抑制薬は,中等度腎障害までなら通常用量投与が可能です.
 ● 尿酸生成抑制薬(フェブキソスタット・トビロキソスタット)は,
   メルカプトプリン水和物(白血病治療薬)やアザチオプリン(免疫抑制剤)
   と併用禁忌薬です.
 ● その他尿酸値を低下させる薬(本来尿酸値を下げるお薬ではありません)
    ・ロサルタンカリウム(高血圧症の薬)
    ・フェノフィブラート(脂質異常症の薬)
    ・アトルバスタチン(LDL血症の薬)
    ・SGLT2阻害薬・ピオグリタゾン(糖尿病の薬)



 

 ■ 高尿酸血症の治療の実際               


高尿酸血症のゴール
 ● 痛風関節炎を繰り返す患者や痛風結節を認める患
   者は薬物治療の適応となります.
 ● 痛風関節炎を繰り返す場合は,尿酸値6.0mg/dL
   以下を目標とします.
 ● 痛風関節炎を誘発させないため,尿酸降下薬は最
   小量から開始し,必要に応じてコルヒチンカバー
   を併用します.
 ● 症状が無いけれど尿酸値が高い場合の治療
    [高血圧症・糖尿病・虚血性心疾患・メタボの人]
       尿酸値8.0mg/dL以上が治療導入の目安.
    [高血圧症・糖尿病・虚血性心疾患・メタボがない人]
       尿酸値9.0mg/dL以上が治療導入の目安.
 ● 大きな痛風結節を有する人は,尿酸値5/㎗以下を目標
   とすることが推奨されています.



 

 ■ 高尿酸血症と腎障害                 



 ● 腎障害合併例は原則として尿酸生成抑制薬を使用
   します.
 ● 尿酸生成抑制薬と排泄促進薬の併用も有効です.
 ● アロプリノールの使用量は,腎機能の低下に応じ
   調節する必要があります.
 ● 尿酸降下療法(アロプリノールなど)は,腎障害
   進展抑制に有効である可能性があります.
 ● フェブキソスタット,トピロキソスタットは腎機能
   低下時でも使用できる可能性があります.



 

 ■ 高尿酸血症と尿路結石                
高尿酸血症と尿路結石
 ● 尿路結石の予防には,1日尿量を2000mL以上
   確保することが有効です.
 ● 尿酸生成抑制薬が第一選択です.
 ● 尿酸排泄促進薬は,尿路結石形成に促進的に作用
   するため,原則として使用しません.
 ● クエン酸製剤は尿アルカリ化(尿pH6.07.0
   維持を目標とします.
 ● シュウ酸カルシウム結石の再発防止は,尿酸生成
   抑制薬と尿アルカリ化薬の併用が有効です.




 ■ 高尿酸血症と高血圧症                

高尿酸血症と高血圧症
 ● 高血圧が合併することが多いとされています.
 ● 腎機能低下や心血管イベント発症と関連することが
   示唆されています.
 ● 尿酸値が8.0mg/dL以上であれば,尿酸降下薬の使用
   を考慮します.

 ● 生活習慣の修正(肥満是正や飲酒制限)が重要です.
 ● 可能であれば尿酸値を上昇させない薬物を検討し
   ます(血圧を下げることが優先です).

尿 酸 値  降 圧 薬
上 昇  サイアザイド利尿薬

 ループ利尿薬

 β(αβ)遮断薬

不 変   MRA
不変~軽度低下  カルシウム拮抗薬

 ARB(ロサルタン以外)

 ACE阻害薬

 低 下  ARB(ロサルタン)




 ■ 高尿酸血症と動脈硬化                

動脈硬化

 ● 高尿酸血症では,動脈硬化性疾患のイベント発
   症の頻度が高いとされています.
 ● 動脈硬化との関連に関する疫学研究は,結果にば
   らつきが大きいです.

 ● 心血管病イベントのリスク因子であったとする報
   告が多いです.
 ● 心血管イベントとの関連に関する解析では,研究間
   で結果にばらつきがあります.
 ● 尿酸降下薬投与が,心血管イベント発症を減少する
   かどうかは,今後さらに検討が必要です.



 ■ 高尿酸血症と心不全                 

高尿酸血症と心不全
 ● 心不全治療を優先します.
 ● 尿酸値が上昇した場合,必要に応じ尿酸降下薬の
   開始や増量を考慮します.
 ● 心不全の治療に推奨される薬

   ・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
   ・アンジオテンシンⅡ受容体括抗薬(ARB)
   ・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
 ● 利尿薬やβ遮断薬は,尿酸値を上昇させるため
   注意が必要です.
 ● 尿酸生成抑制薬も尿酸排泄促進薬も,心不全に悪影響を及ぼす
   ことなく使用できます.
 ● 尿酸生成抑制薬の心不全に対する効果は不明であり,あくまで
   高尿酸血症の治療と考えるべきです.



 ■ 高尿酸血症とメタボリックシンドローム        

高尿酸血症とメタボ
 ● メタボに対する治療の目的は,動脈硬化性疾患の
   発症予防と進展阻止です.
 ● 内臓脂肪量を減少させることで,効率的にメタボ
   の病態改善が図れます.
 ● 食事療法や運動療法,禁煙といった生活習慣の改
   善が,メタボに対する治療の基本です.
 ● 減量により尿酸値は低下し,痛風発作の頻度は減
   ります.
 ● 急激な尿酸値の低下は,痛風発作を誘発します.
 ● 生活習慣の改善だけで効果不十分な場合は,個々
   (高血圧・脂質異常・糖尿病)に薬物療法を行います.




 ■ 高尿酸血症と生活習慣改善              

高尿酸血症と脂質異常症の食事療法 ● 食事療法
   ・適正なエネルギーの摂取で肥満を解消します.
   ・プリン体の適正摂取量は,400mg/日です.


  

食品中のプリン体含有量(100gあたり)
 極めて多い
(300㎎~)
鶏レバー ,干物(マイワシ),白子(イサキ,フグ,鱈)
あんこう(肝酒蒸し),太刀魚,健康食品(DNA/RNA,
ビール酵母,クロレラ,スピルリナ,ローヤルゼリー)など
  多い
(200~300㎎)
 豚レバー,牛レバー,カツオ,マイワシ,大正エビ,オキアミ,
干物(マアジ,サンマ)など
  中程度
(100~100㎎)
 肉(豚・牛・鶏)類の多くの部位や魚類など, 
ホウレン草(芽),ブロッコリースプラウト
  少ない
(50~100㎎)
 肉類の一部(豚・牛・羊),魚類の一部,加工肉類など,
ホウレン草(葉),カリフラワー
  極めて少ない
(~50㎎)
 野菜類全般,米などの穀類,卵(鶏・うずら),
乳製品,豆類,キノコ類,豆腐,加工食品など



 ● 飲酒制限
   ・プリン体・果糖を多く含むソフトドリンクの制限.
   ・果物の摂取で,痛風リスクはあがりません.
   ・コーヒー,チェリー,ビタミンC,乳製品(低脂肪)
    は痛風のリスクを低減する可能性があります.

 ● 運動療法
高尿酸血症と運動療法   ・適切な強度の有酸素連動(歩行・ジョギング・
    社交ダンスなど)
   ・短時間の激し運動では,尿酸値が上昇します.
   10/回以上(少し脈が早くなるくらい)
    合計30-60/日程度が適しています.



 

 

Copyright (C)  2008  長井クリニック All  Rights  Reserved.

スマートフォン版