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        甲状腺結節(腫瘤)
   


 

 ■ 甲状腺結節(腫瘤)について              

 甲状腺結節(腫瘤)は無症状のことが多く,偶然に発見されることが多い病気です. 健康診断などで偶然にみつかることが多く,甲状腺超音波検査(エコー)では、成人の20%以上(男性20.08%,女性26.7%)に発見されています(日本甲状腺学会編:甲状腺結節取扱いガイドライン2013.南江堂,2013).また19841987年の疫学調査(長崎市)では,40歳以上の健康成人の4.5%に甲状腺腫瘍が認められたとも報告されています.米国でも,人口の47%に甲状腺結節があるとされており,
けしてまれな病気ではありません. 
いっぽう甲状腺結節(腫瘤)で治療を必要とするものはごく一部
であり,多くは経過観察(定期的な検査)でよいとされています.



 

 ■ 甲状腺結節(腫瘤)の種類               

 甲状腺結節(腫瘤)は,過形成,良性腫瘍,悪性腫瘍に分けられます.

■ 
過 形 成



 ● 腺腫様甲状腺結節(腺腫様甲状腺腫・多結節性甲状腺結節)


■ 良 性 腫 瘍



 ● 濾胞腺腫


■ 
悪 性 腫 瘍


        
 ● 乳頭癌  : 甲状腺癌の8090%程度を占めます.
          予後はきわめて良好です.しかし術後10年以上
          経過してから再発することもあり,長期にわたり
          経過観察が必要です.

 ● 濾胞癌  : 甲状腺がん全体の5%程度を占めます.
          予後はきわめて良好です.

 ● 髄様癌  : 甲状腺がん全体の12%程度とまれです。「家族性
          に発生するもの」と「多発性内分泌腫瘍(MEN2
          の一部として発生するもの」があります. 

 ● 悪性リンパ腫:橋本病が発生母地となっている可能性が高いと
          されています.
 
 ● 未分化癌 : 甲状腺がん全体の1~2%程度とまれです。大部分
          は分化癌(乳頭癌,濾胞癌)の未分化転化で生じると
          考えられています. 予後はきわめて不良であり,
           90%以上が1年以内に亡くなります.


 ● 転移性癌 : 非常に稀ですが、腎癌,消化器系の癌,肺癌,
          乳癌などの転移が報告されています.
 


 

 ■ 甲状腺結節(腫瘤)の性状               

 甲状腺結節(腫瘤)は,症状がほとんどありません.その多くは,
家族や友人が首のしこりに気づいたり,健康診断で偶然に発見されます. 



 

 ■ 甲状腺結節(腫瘤)の検査               

■ 超音波検査(エコー)



甲状腺結節(腫瘤)にたいし、もっとも有効な
検査です.結節(腫瘤)の大きさ,かたち,内部の
性状,周囲との関係,石灰化の有無、リンパ節腫大
の有無などを確認できます.その結果をもとに,超
音波診断基準に基づき,穿刺吸引細胞診(FNAC)
の適応を検討します.


■ 穿刺吸引細胞診(FNAC)



 超音波を用いて注射の針で,結節(腫瘤)のなかの細胞を採取し,
顕微鏡で癌細胞の有無を確認します. その適応(するかしないか)は、
嚢胞性病変か充実性病変かでかわってきます.

 超音波検査(エコー)超音と穿刺吸引細胞診(FNAC)で、ほとんどの
  甲状腺結節(腫瘤)が診断可能です.

 ・日本超音波医学会「甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準」
 ・日本甲状腺学会「甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン2013

  を参考に判断します.


■ 血液検査



 ● 甲状腺のホルモン値(fT3fT4TSH)
   ・分化癌(乳頭癌・濾胞癌)では正常です.
   ・Plummer病では,fT4が上昇,TSH
    低下します.
   ・未分化癌・悪性リンパ腫では,低下する
    ことがあります.

 ● サイログロブリン 

  ・他の甲状腺の病気でも高くなるため,癌の診断
    には役立ちません.ただし,再発のチェックに
    は有用です.

 ● カルシトニン・CEA
   ・髄様癌で高くなります.


■ CT



 ・癌診断には有効ではありません.しかし、腫瘍
 (
結節)の周囲へのひろがりを確認するには有用です.



 MRIPET



 ・癌診断には有効ではありません.



 シンチ



 ・未分化癌・悪性リンパ腫の転移の診断,Plummer病の診断には有用です.

 治療方法と予後にかんしては
 ・日本甲状腺学会「甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン2013
 ・日本内分泌外科学会・甲状腺外科学会「甲状腺腫瘍診療ガイド
  ライン2010年版」を参考に判断いたします.



 

 ■ 甲状腺結節(腫瘤)の治療方針            


過形成・良性腫瘍(良性結節)



 ・腺腫様結節(過形成結節) : 経過観察が基本です.
 ・濾胞腺腫(腫瘍) : 経過観察が基本ですが、大きな腫瘍(4cm
  
以上等),増大傾向,圧迫症状,機能性結節,癌が否定できない
  場合は手術適応となります.


分化癌(乳頭癌・濾胞癌



 ・手術が原則です.年齢,被膜外浸潤,腫瘍径,リンパ節転移,
  遠隔転移,腫瘍の分化度を含むTNM分類で進行度を評価し,治療方法を
  検討します.
 ・再発の可能性が高い場合は,甲状腺全摘術+TSH抑制療法を検討します. 
 ・再発の可能性が高い場合は,甲状腺全摘術+放射性療法を検討します.


髄様癌



 ・散発性では分化癌に準じた外科的治療を行います.遺伝性では
  甲状腺全摘術が推奨されます.


未分化癌



 ・治癒よりもQOL(生活の質)の向上を目的に,集学的治療(手術,
  化学療法,放射線療法など)を適宜選択します. 


悪性リンパ腫



 ・病期確定後,化学療法,放射線療法を行います.


 

         

  

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