岡山市中区 内科|岡山市中区円山、内科、呼吸器科、消化器科、外科
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     うおのめ・たこ・いぼ   


 ■ 原因および病態                    

 鶏眼(うおのめ)・胼胝(たこ)



 きつい靴をはくなどにより,皮膚が反復する機械的刺激(圧迫や摩擦)を受ける部位に生じます.刺激を受けると,皮膚の防御反応(体の表面を守ろうとする反応)により,角質層(皮膚の表面)が厚く硬くなります.多くは足底や足趾にできます.(“角質”とは 表皮の深い部分の角化細胞が順に分化し,最終的に皮膚の最外層で角質となり脱落します.“角質”が何らかの理由で脱落せずに堆積すると,硬い塊となります.)

        
 疣贅(いぼ)



 「HPV-1」というウイルスが,角化層の細胞に感染しておこります.裸足で活動する場所でうつる可能性が高くなります(プール,脱衣場,風呂マットなど)





 ■ 鶏眼(うおのめ)・胼胝(たこ)・疣贅(いぼ)の違い    


 正常の皮膚



 表皮,真皮,皮下組織の層構造になっています.角質層は,表皮の表面に存在します.





 鶏眼(うおのめ)



 機械的刺激により,表皮が肥厚します(狭く深く広がり,広がり中央
の芯があります.しばしば痛みをともないますが,他の人にはうつりま
せん.






 胼胝(たこ)



 機械的刺激により,表皮が肥厚します(広く浅く広がります).通常は
通常は症状をともなわず,他の人にはうつりません.

 ‣ ペンだこ  : 筆記用具の長時間の使用により手指にできます.
 ‣ 職業性たこ : バイオリン奏者の下顎や鎖骨にできます.
 ‣ 座りだこ  : 正座を繰り返すとくるぶしにできます.
 ‣ 足のタコ  : 足に合っていない靴の使用,歩行の異常,外反
           母址などが原因で,骨隆起部の上にできます.





 疣贅(いぼ)



 主に手のひらや足の裏にできるいぼをミルメシアといいます.ヒト
パピローマウイルス1(HPV-1)が皮膚に感染しておこります.ドーム
上に隆起し、中心がわずかに陥凹し,表面がザラザラ、ブツブツして
います.多くは単発ですが,多発することもあります.子供の胼胝(たこ
や鶏眼(うおのめ)は珍しく、まず疣贅(いぼ)を疑います.















 ■ 鶏眼(うおのめ)・胼胝(たこ)・疣贅(いぼ)の症状    

 鶏眼(うおのめ)



 狭く深く広がり,中央に芯をともなうため,歩行時は痛みを感じること
があります.

 
 胼胝(たこ)



 広く浅く広がるため通常は症状をともないません.しかし厚くなった
角質層により感覚が鈍くなることがあります.また大きくなると痛みを
ともなうこともあります. 



 疣贅(いぼ)



 多くは無症状ですが,徐々に大きくなります.やがて離れた場所にも
うつり、数が増えていきます.通常は症状をともないませんが、大きく
なると痛みをともなうこともあります. 




 ■ 鶏眼(うおのめ)・胼胝(たこ)の治療方法        


 角質の除去




 ● 肥厚した角質を除去(メスなどで物理的に除去)
   します

 ● 鶏眼(うおのめ)では中央の芯も除去します(可
   能な範囲内で).


 ● 自宅では病変よりも小さめに切ったサリチル酸貼
   剤(スピール膏)を,毎日入浴後に貼り替えてもら
   います. その後,白くふやけた角質を除去し,角
   層が薄くなるまで繰り返します.


 ● 機械的刺激が持続する限り再発を繰り返します.
   したがって侵襲を伴う治療(外科的治療)は、適応
   とはなりません(痛い思いをしても必ず再発します).








 機械的刺激の除去



 ● 原因となる機械的刺激の除去が必要です(機械的刺激が続く限り再発
   を繰り返します).
 ● 機械的刺激を完全になくすことは困難ですが,軽減や分散につと
   めましょう.
 ● 靴を選ぶときは,底が軟らかくクッション性の良いものを選びま
   しょう.
 ● 室内でもスリッパなど室内履きを利用しましょう.
 ● 足趾を締めつけないよう足にフィットした幅の靴を選びましょう.
 ● 胼胝(たこ)ができやすい人の多くは,緩い靴を選ぶ傾向にあり
   ます.しかし,緩すぎるとかえって足が固定されないため“ずれの
   力”が働き,胼胝(たこ)や鶏眼(うおのめ)ができやすくなります.
   中敷きなど市販のフットケア製品も利用しましょう.





 ■ 疣贅(いぼ)の治療方法                

 数が少ないうちは比較的短期間で治りますが,大きいものや多発したものは治療に時間を要し,また他の人うつす可能性があります.したがって,できるだけ早く治すことをお勧めします.
発症部位・年齢や部位などを考慮して治療法を選択します(傷跡を残すような治療は避けることが望ましいとされています).また治癒までにある程度の時間を要することが多く,根気よく治療を続けることが大事です.



 ● 液体窒素療法


 液体窒素を用い、感染した角質とヒトパピローマウイルス(HPV-1)を同時に冷凍凝固します.通常1回の治療で治ることはなく,1週間毎にくり返し治療を続ける事が重要です.なかには数ヶ月を要することもあります.治療中にいぼ(尋常性疣贅)が小さくなってもウイルスが残存していると,再燃しもとの大きさに戻ってしまいます. また液体窒素は「-196℃」とドライアイス「-78.5℃」より冷たく,若干の痛みを伴います.したがって小さなお子様や痛みが苦手な人には難しい場合があります.


 ● 
ヨクイニン内服

 
ヨクイニンとは,ハトムギの殻を取り除いたものからえられる成分です.内服により体の免疫力(抵抗力)が高まり,HPV-1を駆除する作用があるとされています.しかしその効果は弱く,局所療法(液体窒素療法など)が困難な場合(数が多い,顔のいぼ,扁平疣贅,
子供のいぼ等)には適していると考えられます. 


 ● 
スピール膏


 スピール膏には肥厚した角質を溶かす作用があります。スピール膏
を数日間貼り続けることでいぼの表面を軟化し溶解・除去する効果が
あります.しかしHPV-1の残存により再発することが多く、あくまで
補助的は治療です.


 ● 
フェノール療法    (保険適用外)


  疣贅(いぼ)表面の角質をなるべく削った後,液状フェノール®(強い腐食作用をもつ)を塗布します.数分間経過後,純エタノールで洗い流します.1週間毎にくり返し治療を続けると効果が得られます. 痛みのない治療であり,小さなお子様に適した治療法ですが,第1選択の治療ではありません.また顔や腕など皮膚の薄い部位には適応ではありません.


 尋常性疣贅(いぼ)は再発することが多く,いずれの治療法も、1回の治療で治るわけではありません.特に数が多い場合や大きな場合は,くり返し治療を続ける必要があります.いぼ(尋常性疣贅)は,治るまでに時間がかかりますが,必ず治る病気です.根気よく治療を続けるようにしましょう.


                        

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