
■ JSH2014 高血圧治療ガイドライン

高血圧治療ガイドラインが5年ぶりに改定されました.
JSH2009高血圧ガイドラインからの主たる変更点
● 家庭血圧を重視
● 降圧目標の一部変更
● 第一選択薬からβ遮断薬を除外
● 糖尿病合併患者の降圧目標を据え置き
● 脳血管障害患者、慢性腎臓病患者での扱い
血圧の指標は「家庭血圧の優先」としています. 医療従事者の前では血圧値が上がってしまう「白衣高血圧」の可能性も考えられ,不必要な治療をしないためにも「家庭血圧」を測定することを推奨しています.
なお日本老年医学会は「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」を発表しております.

■ 診察室外の血圧測定

装 置

 
● 上腕カフ・オシメトリック法に
基づく装置で測定します.
測定環境


● 静かで適当な室温の環境
● 原則として背もたれつきの椅子に
脚を組まず座って1~2分の安静
● 会話を交わさない環境
● 測定前に喫煙,飲酒,カフェイン
の摂取は行わない
● カフ位置を心臓の高さに維持でき
る環境
測定条件


● 朝 起床後1時間以内
▸排尿後 ▸朝の服薬前 ▸朝食前 ▸座位1~2分安静後
● 晩(就床前)
▸座位1~2分安静後
測定回数


● 1機会原則2回測定し,その平均をとる
● 1機会に1回のみ測定した場合には,その数値を血圧値
として用いる
測定期間


● できるかぎり長期間
記 録


● すべての測定値を記録する
評価の対象


● 朝測定値5日(5回)以上の平均
● 晩測定値5日(5回)以上の平均
● すべての個々の測定値

■ 成人の血圧値分類



■ 予後影響因子

下の表をみて、あてはまるものいくつあるか数えてみてく
ださい.あてはまる個数が多いと,脳心血管疾患(脳卒中や狭心症・心筋梗塞)を起こす危険性が高くなる可能性があります.


■ 予後影響因子・血圧値分類からのリスク分類

上述の「血圧値分類」と「予後影響因子」から低リスク、中等リスク、高リスクに分類します.リスクとは、脳心血管疾患(脳卒中や狭心症・心筋梗塞)を起こす危険性のことです.


■ リスクに応じた治療法

低リスク、中等リスク、高リスクはそれぞれ治療の始めかた
が違います. 上述で判明したリスクに応じて、初期治療方法を決定します.


■ 降圧目標

年齢や持っている病気により血圧値の目標中値は
人それぞれです. 下記の表を参考に,目標とする血圧値を
設定します.


■ 高齢者(75歳以上)の高血圧

高齢者社会の到来により高齢者特有の病態や機序に沿った科学的根拠に基づく医療が必要であることから、日本老年医学会は「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」を発表しました.高齢者の生活機能を考慮することを重視し,降圧目標値や身体・精神機能低下などについて検証したうえで,75歳以上では150/90mmHgを当初の目標とし、忍容性があれば140/90mmHg未満を目指すとされています.いっぽうで「自力で外来通院ができないほど身体能力が低下した患者や認知症を有する患者では、降圧薬開始基準や管理目標は設定できず個別に判断すると推奨しています.健康状態の悪化により終末期がちかくなった場合は,降圧薬の中止も積極的に検討する必要があるとしています.病気を予防および治療するだけを目指す医療からの脱却を明確に打ち出していることが注目されます.
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