高尿酸血症・痛風
Hyperuricemia/Gout
2002年に「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」
が作成されましたが,薬物治療の進歩にともない,高尿酸血症や痛風関節炎の予防や治療方法も変化しています
.高尿酸血症・痛風の治療レベルを標準化することを目的に,2019年「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」に改訂されました.
■ 高尿酸血症とは
● 血清尿酸値:7.0mg/dLと定義されています.
● 高尿酸血症は,尿酸塩沈着症(痛風関節炎,
腎障害など)の病因になります.
● 女性は尿酸値7.0mg/dL以下でも,尿酸値の
上昇とともに生活習慣病のリスクが上昇します.
■ 高尿酸血症・痛風発作のリスクについて
■ 痛風発作とは
● 高尿酸血症が痛風発症の必須条件です.
● 高尿酸血症・痛風に関与する要因.
・遺伝要因
・環境要因(肥満,アルコール摂取,
高プリン体食の過剰摂取)
● 過食・過飲・脱水など短期的な環境要因により,
尿酸-ナトリウム結晶が出現し痛風発症に
関与します.
■ 腎障害
● 尿酸値高値は慢性腎臓病の発症・進展に関連し
ています.
● 尿酸降下療法(アロプリノール・フェブキソス
タット・トピロキソスタットなど)は腎障害進
展抑制に有効である可能性があります.
■ 尿路結石
● 尿酸結石の危険因子
①尿量低下(水分摂取不足)
②持続する酸性尿
③尿中尿酸排泄量の増加.
● 高尿酸血症・痛風は,「尿酸結石」や「シュウ
酸カルシウム結石」形成頻度を増加させます.
● 食事性要因(尿酸排泄促進薬,尿中尿酸排泄量の
増加)により,尿酸結石の形成が進みます.
■ 高尿酸血症とメタボリックシンドローム
● 尿酸値が高いほど,メタボリックシンドロームの
発症頻度は増加します(前向き観察研究).
● 内臓脂肪の蓄積に伴い, 尿酸値は上昇します
(尿酸クリアランスの低下).
■ 高尿酸血症と高血圧・脳血管障害
● 尿酸高値により起こりうること
・高血圧(140/90㎜Hg以上)
・高血圧前症(130/85㎜Hg以上)
・特に若年者,肥満者,女性に多い.
・冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)
ただし尿酸値が低値でも死亡率が
高かったとする報告もあります.
・心不全の発症・増悪および死亡率の増加.
・心房細動.
・脳卒中の発症・死亡率・予後への影響は不明です.
■ 総死亡 (含悪性腫瘍)
● 血清尿酸値高値と総死亡リスクとの間には,関連がみられます.
● 血清尿酸値高値と総死亡リスクとの関連は,女性においてより強い
傾向があります.
● 血清尿酸値高値は,悪性腫瘍(特に肺がん)リスクの低下に関連する
可能性があるとされています.
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