■ 偽痛風とは
偽痛風とは
❑ 誘因なく急に関節が赤く腫れ、動かせ
ないほど痛くなる病気です.原因は、
痛関節内に「ピロリン酸カルシウム
(CPPD)結晶」が沈着して炎症が起こ
るとされています.高齢者に多発する
ありふれた病気です.痛風と症状が似
ていることから、つけられた病名です.
❑ CPPD(calcium pyrophosphate dihydrate)結晶とは、
0.5μm~10μm大の白色顆粒状,チョーク状の結晶で
す.プロテオグリカンを細胞内に蓄積した特異な変性
肥大軟骨細胞または化生線維軟骨細胞が結晶形成を引
き起こすとされています.
痛風とは
❑ 誘因なく関節が赤く腫れ、動かせないほど痛む病気です.
関節内に「尿酸結晶」が沈着することにより、関節が痛
くなります.
➢ 痛風・偽痛風は、同じような症状ですが、原因が違うた
め経過や治療方法も変わってきます.
■ 偽痛風の好発部位
❑ 全身の関節におこります.
❑ 特に大きな関節(膝や手関節)に多い
とされています.
❑ その他、肩、肘、手首、指、股、膝、
足、足趾、脊椎にもおこります.
❑ 一度に複数の関節にでることはあま
りありません.
■ 偽痛風の特徴
❑ 高齢者に多いとされています.
➢70歳代:6% ➢80歳代:14% ➢90歳以上:40%
❑ 代謝性疾患(甲状腺機能低下症・副甲状腺機能亢進症・ ヘモクロマトーシス・低マグネシウム血症、遺伝、副
甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)等と因果関係が
あるとも言われています.
❑ 遺伝性(家族性)が関与する可能性もあります.
❑ 外傷や手術後に続発する事もあります.
■ 偽痛風の症状
❑ なんの前触れもなく、急に関節や周囲が腫れて痛くなり
ます.
❑ 38℃を超える高熱が出ることがあります.
❑ 時に全身症状(幻覚や失見当識障害)を認めることもあ
ります.
■ 偽痛風の検査
レントゲン検査
軟骨の点状・線状石灰化像を確認します.ただし高齢者は、
無症状の石灰化像を認めることがあります.
超音波検査
混濁した大量の関節液が確認されます.
関節液の検査
白濁ときに血性の関節液が貯留します.補正偏光顕微鏡を用
い、関節液中のピロリン酸カルシウム二水和物結晶(CPPD
結晶)を確認し、診断が確定します.
■ 偽痛風とよく似た病気
痛風
よく似た症状を呈します.血液検査や関節液の検査で鑑別
します.
変形性膝関節症
悪化すると腫れて関節液がたまり、偽痛風と似たような症
状を呈します.
関節リウマチ
複数の関節が腫れて痛み、しだいに変形してきます.慢性的
に痛むことが多い病気です.
細菌感染
関節や周囲が化膿して、腫れたり痛んだりします.高齢者や
、糖尿病などがある方は注意が必要です.
■ 偽痛風の治療・予防方法
対症療法のみで、問題も残すことなく2~
7日間程度で治癒します.
治療方法
❑ 安静
❑ 湿布
❑ 痛み止めの内服(非ステロイド性抗炎症薬)
❑ 関節穿刺 : 水(関節液)を抜いて、関節内を洗浄し
た後に薬剤を注入します.
❑ ステロイド薬の内服 : 2週間以上痛みが遷延する場合、
多関節におよぶ場合や精神神経症状を認める場合は、プ
レドニゾロン5~10mg/日を短期間内服していただきます.
予防方法
❑ 予防する方法はありません.
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