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 ■ 高血圧を伴う慢性腎臓病の降圧目標          


 ◇ CKDステージ G1, G2



 ❑ 糖尿病合併
    ➢ 130/80 ㎜Hg 未満を推奨 【1 B】 。

 ❑ 糖尿病合併
    ➢ 蛋白尿区分 A1 :140/90 Hg 未満を推奨 【1 A】
    ➢ 蛋白尿区分 A2,A3 : 130/80 Hg 未満を推奨 【1 C 】

 ❑ 75歳以上では、起立性低血圧や急性腎障害などなければ、
   140 / 90Hg未満を目指すことが推奨されます。 


 ◇ CKDステージ G3~G5



 ❑ 糖尿病合併
    ➢ 130/80 ㎜Hg 未満を提案 【2C】

 ❑ 糖尿病合併
    ➢ 蛋白尿区分 A1 :140/90 Hg 未満を提案 【2 C】
    ➢ 蛋白尿区分 A2,A3 : 130/80 Hg 未満を提案【2 C】

 ❑ 75歳以上では、起立性低血圧や急性腎障害などなければ、
   140 / 90Hg未満を目指すことが推奨されます。 


 ※)いずれの場合も,低血圧やめまいなどに注意して適切な降圧管理を行うこと
   が提案されます 【2 C】



 ■ ACE阻害薬 / ARB                



 ◇ CKDステージ G1, G2



 ❑ 高血圧を伴う蛋白尿のない CKD 患者においては、糖尿病合併の有無にかか
   わらず、ACE 阻害薬/ARB CVD イベントおよび腎予後を改善させるとい
   う十分なエビデンスはありません【なし C】。



 ■ 心不全を合併する高血圧症の治療薬          


 ❑ CKDステージG4G5における心不全治療薬の推奨クラスおよびエビデンス
   レベルは以下のとおりです。



 ◇ ACE 阻害薬/ARB    【2C】



 ❑ CKD ステージG4G5 においては、生命予後の観点からACE 阻害薬もし
   くは ARB の使用が提案されますが、腎機能低下や高カリウム血症などに
   十分留意する必要です。     



 ◇ β遮断薬        【2B



 ❑ CKD ステージ G4G5 を対象とした RCT は存在しないものの、β遮断薬
   は生命予後の改善や CVD イベントを減らす可能性があると考えられます。

 ❑ 心不全の生命予後に関してエビデンスのあるβ遮断薬はカルベジロール,ビ
   ソプロロール,メトプロロール酒石酸塩の 3 種類の薬剤のみです。



 ◇ MRA(ケレンディア®)【なし C】



 ❑ CKD ステージ G4G5 での有益性は、現在のところ明らか
   ではありません。
 ❑ 高カリウム血症と腎機能への影響に,注意が必要です。



 ◇ SGLT2 阻害薬     【2C】



 ❑ CKD ステージG4G5 におけるSGLT2 阻害薬のHFrEFに対するエビデン
   スは、現時点でeGFR 2030 mL//1.73までにとどまるが、CKD
   
ステージ G4 までであれば使用開始する意義はあると考えられます。


 ◇ ARNI(エンレスト®)  【2C】



 ❑ CKD ステージG4G5 での、心不全患者におけるエビデン
   スは大規模 RCTで示されており(限定的)、降圧薬として
   の観点から使用を考慮してよいと考えられます。

 ❑ 腎機能低下や高カリウム血症などに注意が必要です。


 ◇ イバブラジン(コララン®【なし D】



 ❑ CKD ステージG4G5 の心不全患者におけるイバブラジン
   の有用性は不明。



    CKD患者への推奨降圧薬   
  75歳未満   75歳以上
 Stage 蛋白尿(+)  蛋白尿(-)   
G1~3  第一選択薬 ACE阻害薬、ARB  ACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬
サイアザイド利尿薬[体液貯留]
から選択
 75歳未満
と同様
 第二選択薬
(併用薬)
Ca拮抗薬[CVDハイリスク]
サイアザイド利尿薬[体液貯留] 
G4,5  第一選択薬 ACE阻害薬、ARB   ACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬
長時間作用型ループ利尿薬
[体液貯留] 
から選択
Ca拮抗薬
 第二選択薬
(併用薬)
 Ca拮抗薬[CVDハイリスク]
長時間作用型ループ利尿薬
[体液貯留] 













 ■ 糖尿病と腎臓病 (DKD)              


 ◇ 尿アルブミン



 ❑ DKD 患者の定期的な尿アルブミン測定は予後判定に有用であ
   り、強く推奨されます【1B
 ❑ 
糖代謝異常が長期間持続し、アルブミン尿(微量)、アル
   ブミン尿期(持続性)を経て、末期腎不全に至ります。
 ❑ 尿アルブミン定量検査は,「糖尿病又は糖尿病性早期腎症患
   者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第 1
   
期又は第 2 期のものに限る)に対し、3 カ月1 回検査でき
   ます。顕性蛋白尿を伴う場合は保険適用外です。



 ◇ 利尿剤



 ❑ DKD の進展予防という観点から、ループ利尿薬、サイアザイ
   ド系利尿薬に十分なエビデンスはありません【推奨なし】。
 ❑ 体液過剰が示唆される DKD では、ループ利尿薬が提案され
   ます【2D】

 ❑ DKDの尿アルブミン改善効果が期待され、ミネラルコルチコ
   イド受容体拮抗薬の使用が提案されます【2C】。


   適応症 禁忌 
 エプレレノン
(セララ®
 高血圧症  ・高 K 血症(K値 5.0 mEq/L を超えた場合
 ・微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者,
 ・Ccr 50 mL/分未満

 ・重度の肝障害(Child-Pugh C)
 ・カリウム保持性利尿剤/MRAを内服中
 ・イトラコナゾールを内服中
 
エサキセレン
(ミネブロ® 
 高血圧症  ・高カリウム血症
 ・eGEF 30ml/min/1.73㎡未満
 ・カリウム保持性利尿剤/アルドステロン拮抗剤
  /カリウム製剤を内服中
 フィネレノン
(ケレンデイア®
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
※)末期腎不全を除く
 
 ・高 K 血症(K値 5.5 mEq/L を超えた場合
 ・イトラコナゾール/クラリスロマイシンを内服中
 ・重度の肝障害(Child-Pugh C)



 ◇ 血糖管理の推奨値



 ❑ 顕性アルブミン尿を呈する DKD 患者では、細小血管合併症
   の発症・進展抑制のため、HbA1c 7.0%未満を血糖管理の目
   安とします(臨床的背景を考慮して判断)【2C】。




 ■ 赤血球造血刺激因子製剤(ESA)           


  CKD では比較的早期から、腎でのエリスロポエチン産生が低
  下し、腎性貧血を発症し
ます。
  腎性貧血の ESAerythropoiesis stimulating agent 赤血球
  造血刺激因子製剤)による治療は、CKD に伴うさまざまな合
  併症予防・治療に有効であり、皮下注射にて早期に開始すべきです。


 ◇ 血色素量(Hb)の目標値



 ❑ ESA投与時は、Hb13 g/dL以下を目標とします【B2】。
 ❑ Hbの目標下限値は10 g/dLを目安とし、病態に応じ目標値を設定します【D】。


 ◇ 鉄剤の投与



 ❑ 貧血を有するCKD患者に鉄欠乏状態があれば、鉄剤投与を推
   奨します【B2】。

 ❑ TSAT20%または血清フェリチン値<100 ng /Lが保存期
   CKD患者の鉄剤投与の目安と考えられます。
    ※)TSAT : トランスフェリン飽和度

 ❑ HIF-PH阻害薬の使用時は、フェリチン<100ng/mLまたは
   TSAT
20%の状態になれ
ば、鉄補充療法が推奨されます。




 ■ 慢性腎臓病の薬物療法                


 ◇ 球形吸着炭



 ❑ 末期腎不全(ESKD)への進展/死亡の抑制効果は認められず、推
   奨されません。
 ❑ 腎機能低下を遅延させる可能性があり、使用を考慮してもよいと
   されています。【C2】


 ◇ 炭酸水素ナトリウム



 ❑ 代謝性アシドーシスを伴う慢性腎臓病(CKDステージG3~5)に
   たいし、炭酸水素Naによる治療は、腎機能低下を抑制する可能
   性があります【B2】。
 ❑  死亡リスクに対する効果は不明です。
 ❑  RRT(腎代替療法:透析・腎移植)への移行リスクは低下の傾向
   です。
 ❑  eGFR低下を抑制します。
 ❑  アルブミン尿(蛋白尿)の抑制は、一定の傾向は認められません。
 ❑  体液貯留(浮腫)の悪化をみとめ、注意が必要です。



 ◇ SGLT2阻害薬(糖尿病合併例)



 ❑  糖尿病非合併のCKD患者に対するSGLT2阻害薬の投与

  糖尿病合併CKD 蛋白尿(+) 
     SGLT2阻害薬は腎機能低下の進展抑制およびCVDイベントと死亡の発生抑制
     が期待でき,投与が推奨されます【C2】
  糖尿病合併CKD 蛋白尿(-) 
   糖尿病合併CKD 蛋白尿(+)、eGFR>75 L/分/1.73m2
     明確なエビデンスがなく推奨されません【Dなし】。


 ◇ RA系阻害薬



 ❑  慢性腎臓病(CKDステージG4、5)では使用中のRA系阻害薬を中止しないこと
   が弱く推奨されます【C2】。 
 ❑  RRT(腎代替療法:移植や透析など)への移行リスクに対する影響は不確定だが
   中止により生命予後を悪化させる可能性があります。



 ◇ プロトンポンプ阻害薬



 ❑  プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、急性間質性腎炎の原因として注意が必要です。
 ❑  H2RAは、消化性潰瘍の予防/治療面でPPIに劣るものの、H2RAを選択することが
   推奨される場合あります。
 ❑  PPIの使用は、CKD発症/進展のリスクとなる可能性があり、治療上必要な場合の
   み使用することが提案されます【C2】。
 ❑  低用量PPI投与は、eGFR低下を起こさない可能性があり(追加検証が待たれる)。


 ◇ 抗ウイルス薬(ヘルペスウイルス)



 ❑  アシクロビル,バラシクロビル,ファムシクロビルは、急性腎障害(AKI)発症
   頻度が1%前後であり、腎機能に基づく薬物投与設計が必要です。
 ❑  アメナメビル : 肝代謝型薬物であり、腎機能に基づく薬物投与設計が不要で
   あり、CKD患者への投与が可能も、以下の薬には注意が必要です。
     ・リファンピシン;併用禁忌です。
     ・ミダゾラム、シクロスポリン、リトナビル;相互作用に要注意です。


 ◇ 鎮痛薬



 ❑ CKD患者に対する鎮痛薬の選択・使用量や期間は,個々の状態に
   応じて副作用の発現に注意しつつ,必要最小限に調整することが
   望まれます。
 ❑  長期使用に関し安全性が確立されている鎮痛薬はありません。
 ❑  非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
     KDIGO(国際的腎臓病ガイドライン機構)のガイドラインでは、
     ・eGFR<30 mL/分/1.73 の症例、RA系阻害薬、利尿薬、リチウム製剤
      の使用中には、NSAIDsの投与を避けることが提案されています
     ・eGFR<60 mL/分/1.73 ㎡の症例では、NSAIDsの継続的な投与を避けるこ
      とが提案されています。

  アセトアミノフェン
     鎮痛薬としてNSAIDsよりアセトアミノフェンが使用さ
     れています。しかし、他剤との併用や常用した場合の長期安全性に関する明確
     なエビデンスはありません。

  ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液
     CKD患者に対する大規模試験は、過去に実施されていません。

  ガバペンチノイド
     腎からおもに排泄されるため,腎機能に合わせて用量調節が必要です。

  オピオイド 
     トラマドール,トラマドール・アセトアミノフェン配合錠は、少量からの開始。





 ◇ 抗てんかん薬/抗うつ薬等




 ❑  抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、中枢性筋弛緩薬にたいし
   CKD患者に限定した効果や副作用を検討した比較対象試験は実施
   されていません。

  デュロキセチン
     高度腎機能障害を有する際は禁忌となっています。

  チザニジン
     腎排泄であるため、CKDでは血中濃度が上昇しやすく、慎重投与が必要です。





 ■ シックデイ(体調不良時)              


 ❑ 高齢者やCKD患者はAKIのリスクが高く,CKD患者は著しい体調
   不良時には,薬物の減量や一時的休薬を含めた適切な治療を受け
   る必要があります。


 ❑ 脱水状態では,血圧が低下し,腎血漿流量が低下するなどして腎
   機能が低下し,薬剤性腎障害のリスクが高くなるため,腎排泄性
   薬や腎障害性のある薬物の一時休薬や減量を検討します。


 ◇ 脱水状態の注意点(鎮痛薬)



  NSAIDs
     AKI(急性腎障害)の危険性が上昇します。

  ビグアナイド
     乳酸アシドーシスの危険性が高くなります。

  SGLT2阻害薬(糖尿病の治療)
     
脱水状態ではケトアシドーシスの危険性が高まるため休薬が必要です。

  SGLT2阻害薬(慢性心不全の治療) 
     医療機関で病態に応じて判断します。

  利尿薬/RA系阻害薬
     
脱水状態でAKIリスクが高くなります。いっぽで、休薬により心不全増悪や
     CVDリスクが高まる可能性があり、病態に応じて休薬を判断します。

  活性型ビタミンD(VitD) 
     著しい食思不振や脱水状態では、高カルシウム血症やAKIの発症予防と重症
     化抑制の危険があり、一時休薬を考慮します。

 



 ■ 慢性腎臓病と脂質異常症               


 ❑  スタチンおよびスタチン+エゼチミブ併用による脂質低下療
   法は、CVD イベント発症を抑制し、腎機能悪化を抑制する
   可能性があり、行うよう提案されています【2B】。
 ❑  フィブラート系薬による脂質低下療法は,CVD イベント発症
   の抑制において有用な可能性はあるも、中~高度腎障害患者で
   は慎重投与、もしくは禁忌であり注意を要します【なし D】。
 ❑  PCSK9 阻害薬、選択的 PPARαモジュレーター(ペマフィブラート),EPA
   
製剤はCKD 患者に対し明確な推奨はできません。



 ■ 慢性腎臓病と高尿酸血症               

 ❑  
高尿酸血症を有する CKD 患者に対する尿酸低下療法は、
   腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮して
   もよいとされています【2C】。

 ❑  「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第 3 版」におい
   て、腎障害合併例の高尿酸血症には原則として尿酸生成抑
   制薬を用いることが推奨されています。


 ◇ アロプリノール



 
その代謝物の排泄が遅延し高い血中濃度が持続するため、投与量の減量や投与間
 隔の延長が必要です。


 ◇ フェブキソスタット/トピロキソスタット



 
腎排泄/胆汁排泄であり比較的安全に使用できます。




 ■ 75歳以上の高血圧を伴うCKD患者に対する高血圧療法  


 ❑ CKD進展および発症の抑制のために、診察室血圧150/90 ㎜Hg未満に維持
   することが推奨されます【C2】。

 ❑ 立ちくらみ・めまい等がなく、忍容性があれば、診察室血圧140/90 ㎜Hg
   
未満に維持することが推奨されます【C2】。


 ❑ 降圧の下限値については,設定されていません。



   

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