■ 慢性腎臓病(CKD)とは
❑ 慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの原因で腎臓が慢性
的に障害を受けている状態をいいます。
❑ 成人の8人に1人が慢性腎臓病(CKD)であるとされて
おり、自覚症状に乏しく、放置すると重症化します。
❑ 末期腎不全にいたると、人工透析や腎臓移植が必要に
なります。
❑ 心筋梗塞,脳卒中,心不全にいたり、死亡率が増します。
❑ 認知症と関連する可能性もあり、健康寿命延伸を阻ん
でいます。
■ 蛋白尿、アルブミン尿の評価
❑ 蛋白尿・アルブミン尿は末期腎不全,心血管死,全死
亡などの強力なリスク因子であり、重要なCKD診断
項目の1つです。
❑ CKDの診断および重症度判定時に、蛋白尿もしくは
アルブミン尿の評価は必須です。
❑ 蛋白尿・アルブミン尿は、原因検索のため腎生検施
行の目安になります。0.5 g/日以上の蛋白尿、あるい
は蛋白尿と血尿がともに陽性の場合には、腎生検を考慮する必要があります。
❑ 蛋白尿・アルブミン尿を減少させ腎保護効果の目的で、減塩、減量などリス
ク因子への介入が必要です。
❑ RA系阻害薬,MRA,SGLT2阻害薬などを用いた薬物治療も有用です。
■ 慢性腎臓病(CKD)の診断
CKD診断基準(以下のいずれかが3ヶ月を超えて存在する状態)
腎障害の指標 |
・蛋白尿 : 0.15 g/gCr以上
・アルブミン尿 : 30 mg/gCr以上
・尿沈渣の異常
・尿細管障害による電解質異常やそのほかの異常
・病理組織検査で腎臓の異常
・画像診断で腎臓の形態異常
・蛋白尿 : 0.15 g/gCr以上
|
GFRの低下 |
・GFR < 60ml / 分 /
1.73㎡ |
■ 検診異常時の受診基準
❑ 尿蛋白1+以上の場合
❑ 尿蛋白(±)が2年連続みられた場合
❑ 40歳以上では,eGFR 45 mL/分/1.73 ㎡未満
(CKDステージG3b以降)の場合
❑ 40歳未満では,eGFR 60 mL/分/1.73㎡未満
(CKDステージG3a)の場合
■ 慢性腎臓病(CKD)の重症度分類
❑ 腎機能はGFRを用いて評価します。
❑ 日常診療では血清Cr値,性別,年齢から日本人のGFR推算式(JSN eGFRcr)
を用いて算出します。
❑ 18歳以上に適用されます。
原疾患 |
蛋白尿区分 |
A1 |
A2 |
A3 |
糖尿病
|
尿アルブミン定量(㎎/日)
尿アルブミン/Cr比(㎎/gCr)
|
正常 |
微量
アルブミン尿
|
顕性量
アルブミン尿
|
30未満 |
60~299 |
300以上 |
高血圧, 腎炎
多発性嚢胞腎
腎移植
その他 |
尿蛋白定量(g/日)
尿蛋白/Cr比(g/gCr) |
正常 |
軽度蛋白尿
|
高度蛋白尿 |
0.15未満 |
0.15~0.49
|
0.5以上 |
GFR区分
(㎖/分/
1.73㎡)
|
G1 |
正常または高値 |
≧90 |
|
|
|
G2 |
正常または軽度低下 |
60~89 |
|
|
|
G3a |
軽度~中等度低下 |
45~59 |
|
|
|
G3b |
中等度~高度低下 |
30~44 |
|
|
|
G4 |
高度低下 |
15~29 |
|
|
|
G5 |
高度低下~末期腎不全
|
<15 |
|
|
|
❑ 重症度は原疾患・GFR区分・タンパク尿区分を合わせたステージにより
評価します。CKD重症度は、死亡、末期腎不全、心血管死発症のリスクが、
緑■→黄■→オレンジ■→赤■の順に上昇します。
❑ 治療は、生活習慣の改善、食事療法、血圧・糖尿・コレステロールの管理
が必要です。
■ 末期腎不全のリスク
❑ 1~3年間で血清クレアチニン値の倍化(eGFR 57%
低下に相当)。あるいは eGFR 40%もしくは30%
の低下する場合。
❑ eGFRが、一年間に -5.0㎖/分/1.73㎡以上減少す
る場合は、急速な進行と考えられます。
■ 腎臓病専門医への紹介基準
❑ CKDステージG1,2では血尿を伴う場合。
❑ CKD A2,3で,血尿を伴わない場合。
❑ CKD A3の場合。
❑ CKDステージG3aで40歳以上の場合。
❑ CKD A2,3で,40歳未満の場合。
❑ CKDステージG3b~G5。
❑ 3カ月以内に30%以上腎機能の悪化が認める場合。
原疾患 |
蛋白尿区分 |
A1 |
A2 |
A3 |
糖尿病
|
尿アルブミン定量(㎎/日)
尿アルブミン/Cr比(㎎/gCr)
|
正常 |
微量
アルブミン尿
|
顕性量
アルブミン尿
|
30未満 |
60~299 |
300以上 |
高血圧, 腎炎
多発性嚢胞腎
腎移植
その他 |
尿蛋白定量(g/日)
尿蛋白/Cr比(g/gCr) |
正常 |
軽度蛋白尿
|
高度蛋白尿 |
0.15未満 |
0.15~0.49
|
0.5以上 |
GFR区分
(㎖/分/
1.73㎡)
|
G1 |
正常または高値 |
≧90 |
|
血尿(+)なら
紹介
|
紹介 |
G2 |
正常または軽度低下 |
60~89 |
|
血尿(+)なら
紹介
|
紹介 |
G3a |
軽度~中等度低下 |
45~59 |
40歳未満
紹介 |
紹介 |
紹介 |
G3b |
中等度~高度低下 |
30~44 |
紹介 |
紹介 |
紹介 |
G4 |
高度低下 |
15~29 |
紹介 |
紹介 |
紹介 |
G5 |
高度低下~末期腎不全
|
<15 |
紹介 |
紹介 |
紹介 |
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